
「東京ディズニーランド」から「ジャングリア沖縄」まで。時代によって変化するテーマパークのナラティブ
2025年7月25日、沖縄北部に「ジャングリア沖縄」がグランドオープンします。東京ディズニーランド、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに次ぐ、日本の新たなテーマパークの誕生です。
本記事では、時代とともに変化するテーマパークとそのナラティブを紐解きます。
170年の歴史を更新し続ける、浅草花やしき
日本最古の遊園地である浅草花やしきは、造園師 森田六三郎の手により江戸時代末期の嘉永6年(1853年)に開園しました。当初は牡丹と菊細工を主とした花園(かえん)としてスタートしましたが、明治に入ると遊戯施設の設置や、珍鳥や猛獣などの飼育も始まり、テーマパークとしての道を歩み始めます。
他のテーマパークと比較して、花やしきには「立地」と「歴史」という二つの強みがあります。浅草の中心部に位置する花やしきはアクセスも良く、集客においてはメリットになりますが、郊外に大きな土地を有するテーマパークのようにアトラクションの追加や入れ替えが容易にできない点は大きなデメリットです。しかし、限られた空間に複雑な配置でレトロなアトラクションが並ぶ様子は、花やしきならではの味として多くの人々に受け入れられています。特に、建物の間をギリギリで走り抜けるローラーコースターは今や、花やしきの代名詞ともいえる存在です。
他のテーマパークと比較して、花やしきには「立地」と「歴史」という二つの強みがあります。浅草の中心部に位置する花やしきはアクセスも良く、集客においてはメリットになりますが、郊外に大きな土地を有するテーマパークのようにアトラクションの追加や入れ替えが容易にできない点は大きなデメリットです。しかし、限られた空間に複雑な配置でレトロなアトラクションが並ぶ様子は、花やしきならではの味として多くの人々に受け入れられています。特に、建物の間をギリギリで走り抜けるローラーコースターは今や、花やしきの代名詞ともいえる存在です。
ディズニーランドにおける、徹底した非日常空間の演出
文化や国、時代、キャラクターなど特定のテーマに合わせて全体を演出する大規模な観光施設を表す「テーマパーク」という言葉。今でさえ、遊園地などの娯楽施設を表す言葉として一般的に使われていますが、この言葉が定着したきっかけは1983年(昭和58年)の東京ディズニーランド開園でした。まさに、開園以来、東京ディズニーランドが一貫して守り続けているのが、テーマパークの語源どおりである「テーマ=ディズニーの世界観」です。
「私はディズニーランドが、幸福を感じてもらえる場所、大人も子供も、ともに生命の驚異や冒険を体験し、楽しい思い出をつくってもらえるような場所であってほしいと願っています」というウォルト・ディズニーの言葉があります。世代を越えてあらゆる人々が楽しめるよう、パーク全体がディズニー作品の世界を再現しており、そこでは日常を感じさせる要素は一切排除されます。来場者は「ゲスト」であり、従業員は「キャスト」としてディズニーの世界を演じることで、ゲストは非日常の体験を心ゆくまで楽しむことができます。
東京ディズニーランドも東京ディズニーシーも、ゲストに非日常的な体験を提供する「巨大なステージ」であり、園内の建物から音楽にいたるまですべてがテーマを持って構成されています。各アトラクションは「テーマショー」という視点から設計されており、一時的な楽しみや興奮を提供するだけのものではありません。パーク内のすべてが舞台装置として機能している空間で、ゲストたちは非日常的なディズニーの世界観に“受け手”としてどっぷり浸かり、五感をフル活用して楽しむことができる。これが、ディズニーランドが長年にわたってゲストたちと共有してきたナラティブでした。
「私はディズニーランドが、幸福を感じてもらえる場所、大人も子供も、ともに生命の驚異や冒険を体験し、楽しい思い出をつくってもらえるような場所であってほしいと願っています」というウォルト・ディズニーの言葉があります。世代を越えてあらゆる人々が楽しめるよう、パーク全体がディズニー作品の世界を再現しており、そこでは日常を感じさせる要素は一切排除されます。来場者は「ゲスト」であり、従業員は「キャスト」としてディズニーの世界を演じることで、ゲストは非日常の体験を心ゆくまで楽しむことができます。
東京ディズニーランドも東京ディズニーシーも、ゲストに非日常的な体験を提供する「巨大なステージ」であり、園内の建物から音楽にいたるまですべてがテーマを持って構成されています。各アトラクションは「テーマショー」という視点から設計されており、一時的な楽しみや興奮を提供するだけのものではありません。パーク内のすべてが舞台装置として機能している空間で、ゲストたちは非日常的なディズニーの世界観に“受け手”としてどっぷり浸かり、五感をフル活用して楽しむことができる。これが、ディズニーランドが長年にわたってゲストたちと共有してきたナラティブでした。
来場者が「主人公」として能動的に楽しむ
そんな東京ディズニーランドに訪れるゲストたちの楽しみ方も、時代と共に進化していきます。ディズニーの世界観とストーリーを楽しむだけでなく、ディズニーの世界観の中に入り込む「私たちが主役」という楽しみ方が生まれてくるのです。
その一例に、中高生を中心に制服を着てディズニーランドに行く「制服ディズニー」という楽しみ方があります。また、ハロウィンイベント期間中に仮装をしてディズニーの世界観の中の主人公になるという楽しみ方も、近年急速に広まってきました。東京ディズニーランドの楽しみ方も、時代とともに「世界観を“受け手”として楽しむ」だけでなく「世界観に自ら入り込み、が主人公となり、演じる」という形が現れています。ディズニーランドの楽しみ方は、ゲストが共に紡ぐ「ナラティブ」として深化してきたと言えるでしょう。
さらに、テーマパークのあり方は来場者がより自主的に、より能動的に動く「主人公型の体験」を提供する形へと変化していきます。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)内に2021年にオープンしたスーパー・ニンテンドー・ワールドでは、来場者はまさに自分がマリオになった気分でハテナブロックや音符ブロックを叩いたり、巨大な土管に入ったり、リアルにマリオカートを運転したりして、全身でゲームの世界を体験することができます。
2022年に愛・地球博記念公園内にオープンしたジブリパークには、『となりのトトロ』のサツキとメイの家や、『もののけ姫』のタタラ場を模した学習施設、『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』に登場した多数の施設が並び、来場者はジブリ作品の中に入った気分で楽しむことができます。大がかりなアトラクションをメインにしたテーマパークとはまた違う、「なりきり気分」が楽しめる空間です。
その一例に、中高生を中心に制服を着てディズニーランドに行く「制服ディズニー」という楽しみ方があります。また、ハロウィンイベント期間中に仮装をしてディズニーの世界観の中の主人公になるという楽しみ方も、近年急速に広まってきました。東京ディズニーランドの楽しみ方も、時代とともに「世界観を“受け手”として楽しむ」だけでなく「世界観に自ら入り込み、が主人公となり、演じる」という形が現れています。ディズニーランドの楽しみ方は、ゲストが共に紡ぐ「ナラティブ」として深化してきたと言えるでしょう。
さらに、テーマパークのあり方は来場者がより自主的に、より能動的に動く「主人公型の体験」を提供する形へと変化していきます。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)内に2021年にオープンしたスーパー・ニンテンドー・ワールドでは、来場者はまさに自分がマリオになった気分でハテナブロックや音符ブロックを叩いたり、巨大な土管に入ったり、リアルにマリオカートを運転したりして、全身でゲームの世界を体験することができます。
2022年に愛・地球博記念公園内にオープンしたジブリパークには、『となりのトトロ』のサツキとメイの家や、『もののけ姫』のタタラ場を模した学習施設、『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』に登場した多数の施設が並び、来場者はジブリ作品の中に入った気分で楽しむことができます。大がかりなアトラクションをメインにしたテーマパークとはまた違う、「なりきり気分」が楽しめる空間です。
IPに頼らず、自然への没入感で新たな価値の提供に挑むジャングリア沖縄
この夏新たに誕生するジャングリア沖縄は、都会にはない興奮と贅沢な旅「Power Vacance!!」をコンセプトに掲げたテーマパーク。USJのV字回復の立役者である著名マーケター 森岡毅氏が事業を主導する、渾身のプロジェクトです。

ジャングリア沖縄が目的としているのは、沖縄北部における「地方創生」「持続可能な観光の推進」「沖縄の新たな魅力の発信」。世界遺産である「やんばるの森」に広がる約60ヘクタールという広大な敷地内には、スリル満点のアトラクションから沖縄の大自然を楽しめる癒しのスポットまで、さまざまなエンターテインメントが用意されています。
ディズニーランドやUSJとは違い、強力なIP(知的財産)コンテンツに頼らず、雄大な自然をフルに活用し、スリルと本物の自然への没入感によって、新たな価値を提供していくジャングリア沖縄。私たちがまだ見ぬ、新しいテーマパークの可能性が、そこには広がっているのかもしれません。
ディズニーランドやUSJとは違い、強力なIP(知的財産)コンテンツに頼らず、雄大な自然をフルに活用し、スリルと本物の自然への没入感によって、新たな価値を提供していくジャングリア沖縄。私たちがまだ見ぬ、新しいテーマパークの可能性が、そこには広がっているのかもしれません。
「Narrative Genes ~ナラティブの遺伝子たち~」
企業と社会の関係性が見直される時代に注目が集まる「ナラティブ」を
PRストラテジスト・本田哲也を中心に、企業経営、ブランディングの先駆者と共に考えるウェブサイト。
「ナラティブ」とは、企業と消費者(生活者、ユーザー)との「共体験」の物語のこと。
企業経営において重要な「共創」に着目した、新たなアプローチ概念です。