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ナラティブが生まれ続けるテーマパーク。 私たちがサンリオピューロランドを愛さずにはいられないワケ。

ナラティブが生まれ続けるテーマパーク。 私たちがサンリオピューロランドを愛さずにはいられないワケ。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、テーマパーク業界は深刻な打撃を受けました。東京都多摩市のサンリオピューロランド(以下、ピューロランド)も、そうしたテーマパークのひとつ。2020年2月から約5ヶ月間の臨時休館を余儀なくされました。しかし、彼らはその間もファンとの交流を続け、コロナ禍以前と同等かそれ以上のエンゲージメントを獲得しています。それどころか、ピューロランドを運営する株式会社サンリオエンターテイメントの代表取締役社長であり、ピューロランド館長も務める小巻亜矢さんは「コロナ禍によって私たちは大きく成長できた」とまで言い切ります。そこにはどんな魔法があったのでしょうか。ナラティブの視点から、その秘密にせまります。

痛みも喜びも。スタッフが抱える物語をひとつずつ紐解く

本田:小巻さんがピューロランドの館長に就任された際に、まず取り組んだのはスタッフ一人ひとりとのコミュニケーションだと伺いました。はじめに「人」に着目したのは、なぜでしょうか?

小巻:会社の行動主体は、働くスタッフ一人ひとりだからです。赴任した時点で、ピューロランドがさまざまな課題を抱えていることは、なんとなくわかりました。けれどそれらを改善するにしても、現場で働くみなさんのことを理解しないことには、何の計画も立てられないと感じたんです。

そもそも、なぜみんなはここで働こうと思ったのか。彼らは働くなかで、どんな喜びや痛みを感じてきたのか。仕事に対して、どれくらいの情熱を燃やしているのか。これからの未来に向けてどんな夢を持っているのか、あるいは持っていないのか。そうした一人ひとりが抱える物語を紐解くことから始めたいと、直感的に思いました。だから、本田さんがナラティブの大切さを訴えるのも、すごくよくわかるんですよ。
本田:非常にユニークなアプローチだと思います。責任者がスタッフと面談すること自体はよくありますが、どうしても「ウチの会社の仕事は~」とか「これからの会社のビジョンは~」といったように、会話の主語は「会社」になりがちです。けれど小巻さんは、目の前にいる「あなた」を主語として、物語を聞き出していったのですよね。

そうするとスタッフの方々も、今なぜピューロランドで働いているのかを、自分の人生と紐付けながら語ってくれるはずです。つまり、百人いれば百通りの物語が生まれるわけです。小巻さんは、それらをひとつずつ読み解いていった。なかなか真似のできない経営者がほとんどだと思います。

自分の物語に気づけば、人の物語を聞けるようになる。

小巻:私がエンターテイメント業界で働いた経験がなかったことが、むしろ幸いしたのかもしれませんね。この規模の会社の経営を手がけるのも初めてで、要するに何をすればいいかわからなかったんです。今振り返ればコンテンツ戦略から入っていくという手もあったのだとわかりますが、あの頃はそういったノウハウが何もなかった。そんななかで、自分にとってかろうじて得意分野だったのが「人の話を聞くこと」でした。だから「これからの時代はナラティブだ」と思っていたわけではもちろんなくて、本当にたまたまなんですよ。

本田:ちなみに、小巻さんはその聞き出す力を、どうやって身につけたんですか?

小巻:実は私も昔は人の話を全く聞かないタイプで。聞かない、聞けない、聞いてるふり。それでまずつまずいたのが、子育てです。子どもの気持ちなんて全くわかってあげようとしない、本当にダメダメな母親でした。それでもなんとか育児がひと段落して、40歳頃に再就職したのですが、やっぱり人とのコミュニケーションがうまくいかなくて。良かれと思ってやったことが裏目に出たり、イヤな思いも随分しました。

そのふたつの手痛い経験があってようやく「あ、自分は聞くことが全然できていなかったんだな」ということに気付けたんです。聞くことを中心にしたコミュニケーションを心がけるようになったのは、それからですね。

本田:今の小巻さんからは、ちょっと想像もできないですね。

小巻:もう本当に我が強くて、頑固で。「みんなが間違ってるんだ!」って、いつも思っていました。我ながらいやな人間でしたね(笑)。

本田:でもそうやって、自分を客観視できたわけですよね。そういう機会が訪れるかどうかで、人間としてのあり方も大きく変わる気がします。

小巻:すごく大切なターニングポイントでした。もっと恐ろしいことに、私は人の話を聞けない以前に、自分の気持ちにも気付けていなかったんです。「あなたは何をしたい人なの?」と聞かれたときに、何も答えることができませんでした。

本田:自分の物語が出てこない。

小巻:全然、出てこない。「何を期待されてるんだろう」と先回りして、「こう答えたら満足するだろうな」という言葉を返しているだけでした。そういう思考回路だったから、とにかく自分の言葉で人と話すことが苦痛で。その裏返しで、人の言葉にも耳を傾けられなくなっていたのだと思います。

人々の物語が縦横無尽に絡み合うテーマパーク

本田:スタッフ一人ひとりが抱く物語に耳を傾けることで、チームが活性化したり、一枚岩となっていったりするような手応えはありましたか?
小巻:すごくありました。物語のなかには、必ず共感できるポイントがあるんですよ。だってこれだけ毎日同じ場所で同じ時間を過ごしているわけですからね。そうするとナラティブを通じて、私とスタッフ、スタッフ同士の関係性が生まれてきます。さらに館内では、お客様との関係性も生まれる。ピューロランドというの空間では、そうした関係性が縦横無尽に絡み合っているんです。

本田:実はコロナ前にピューロランドを訪れたときに、私も同じことを感じて。私の言葉で言い換えると、ピューロランドというのは共体験が生まれる場所だと思ったんです。そういう空間をつくる秘訣は、どこにあるのでしょうか?

小巻:ピューロランドではさまざまな年代のスタッフが働いていますが、やっぱりみんな人を喜ばせることが好きなんですよね。お客様が喜ぶ姿を間近で見たいという理由で、転職されてくる方も多い。これって、すごいことだと思うんです。「人の喜びが自分の喜びになる」という人が、ひとつの場所で1000人以上も働いているわけじゃないですか。

本田:本当に、日本でも有数の共体験集団だと思います。あとはやっぱり、お客様との関係性も、すごく強いように感じるんです。それはスタッフの方々のホスピタリティが伝わっているからなのでしょうか?

小巻:お客様に喜んでもらいたいという気持ちは、開館当初から変わらずにあると思うのですが、ここ数年でスタッフの熱量が一段階あがったと感じていて。というのも、朝礼の仕組みを少し変えて、スタッフ一人ひとりが自分の「ピューロランド愛」だったり、その日の目標だったりを語る時間を設けたんです。つまり、一日に一回、それぞれの気持ちを共有する場をつくったんです。

そうすることで何が変わったかというと、個々人が一日一日を意識的に過ごせるようになった。「自分はお客様を喜ばせるためにここにいるんだ」「あの場所で働いている彼女も、そう思っているみたい」「あの人は今日は体調が悪そうだな。じゃあその分、私が頑張ろう」。そんな風にスタッフ同士の関係性も深まっていきます。それぞれのスタッフが抱える物語が、さらに交差しやすくなったというか。そういう「物語の網目」みたいなものが複雑化したことで、ピューロランドの世界観が濃くなった気がするんです。お客様との結びつきが強くなったのも、そのおかげかもしれません。

本田:朝礼が価値共有の場所になっているのですね。朝礼をやっている企業も多いですが、往々にして3分間スピーチ的な「ちょっといい話」を披露する場になりがちです。それだと瞬間的な共感は生まれても、価値の共有、つまり「共体験」にまではいたりません。やはり小巻さんたちのように「私はなぜ今ここで働いているのか」というところまで掘り下げることが大切なのだと思います。

組織づくりにも、コンテンツづくりにも「余白」が欠かせない

本田:お話を伺っていると、小巻さんはメンバーの声に真摯に耳を傾ける、ボトムアップ型のリーダーですよね。

小巻:そうですね。トップダウンで組織を引っ張っていくタイプではありません。例えば朝礼のシステムも私が提案したのですが、とりあえずやってみて、アレルギー反応が起きたら止めればいいや、くらいの気持ちでした。そういう意味では、すごくゆるいリーダーだと思います。

本田:引っ張るというよりも、引き出すというか。

小巻:引き出すとか、つなぐとか、そういうイメージで場づくりに取り組んでいます。
本田:それもひとつのリーダーのあり方ですよね。グイグイ引っ張らなくても、価値共有できる場をつくれば、組織はまとまるわけですから。やっぱり、すごくナラティブなやり方だと思います。

小巻:それくらい私がゆるく構えていた方が、スタッフのみんなも組織づくりに参加しやすくなると思うんです。まあこれは、本田さんの『ナラティブカンパニー』の「余白」というキーワードに触れるなかで気付いたことなのですが(笑)。

それにしても「余白」って、いいことをおっしゃいましたよね。この本のなかでも個人的には一番刺さったキーワードです。

本田:これからの時代は、より「余白」が大事になると思うんですよ。小巻さんがおっしゃったように、組織にも余白があった方が、スタッフが参画しやすい。ブランドにも余白があった方が、消費者が参画しやすい。

小巻:コンテンツにしてもそうですね。最近のお客様は、コンテンツを消費するだけではなく、一緒にコンテンツをつくりだす「共創」のプロセスに価値があるのだと、気付きはじめています。

本田:共創を生み出すための仕掛けとしては、例えばどんなものがありますか?

小巻:例えば、ピューロランドの30周年を記念したアニバーサリーソングの歌詞は、お客様からキーワードを募り、みんなでつくりました。大分にあるハーモニーランドでも、グッズデザインを地元の学生とともに手がけています。

マーケティング的な観点から言っても、そうですね。私たちが能動的に市場調査をして何かをつくるのではなく、お客様の声を聞いて、リアルな反応を見ながらつくられたグッズやコンテンツがどんどん増えてきています。つまり、見えない部分でも実はお客様に参加していただいているんです。

ハローキティの「ゆるさ」の秘密は、そのパーパスにある

本田:少し話はそれますが、世界中にさまざまなキャラクターがいるなかでも、キティちゃんをはじめとしたサンリオさんのキャラクターたちは、すごく「余白」があると思うんです。日本には「ゆるキャラ」という独自の文化がありますが、キティちゃんたちも、どことなく日本的なゆるさをたたえています。

それに比べて欧米のキャラクターは、隙がなくて「完璧」です。だからちょっとでも手を加えることは許されない。けれどキティちゃんの場合は、ご当地キティをはじめとして、「大丈夫なの?」とこちらが心配になるくらい、がんがんイジられているじゃないですか。そうした余白のあるキャラクターのあり方を、サンリオさんが認めてきたのはなぜなのでしょう?

小巻:それは「この子たちは何のために存在しているのだろう」というパーパスにまで遡ることで説明できると思います。この子たちは「かわいいね」と褒めてもらうために存在するのではありません。そうではなくて、誰かを笑顔にすることが存在意義なんです。だから「こうしたらお客様がもっと喜ぶかもしれない」というアイデアがあれば、「じゃあやってみようか」となる。もちろん、キティちゃんをキティちゃんたらしめる最低限のルールは守った上で、ですけれど。

本田:まさに顧客起点ですね。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、キャラクタービジネスでそれをやるのって、意外と難しいと思うんです。実際、世界を見渡しても、余白やゆるさを生かしたクリエイティブって、日本固有のものに思えます。余白を余白として捉えることができる日本人の感覚は、実は世界に誇れるものなのかもしれませんね。

小巻:「間」とか、行間を読むとか、そういう感覚でしょうか。「余白」の美しさですね。

本田:そう「余白」は、「余計」ではありません。余白を共創的に埋めていくことでこそ、最終的に素晴らしいコンテンツやプロダクトが生まれるんです。

コロナ禍の陰で、さまざまな物語が花開いた

本田:組織論にしても然りです。小巻さんがおっしゃっていたように、余白があるからこそ、ピューロランドは強い。決して社長が怖くて、みんなが言うことを聞いているわけではない、と(笑)。

小巻:怖いは怖いかもしれませんが、みんなに言うことを聞かせるほどの力はないです(笑)。会議でも最終的な決定権は私にありますが、実質的にはスタッフの意見が通ることがほとんどです。だって、みんなの方が現場をよく知ってますもん。

本田:何かを決めるということでいうと、昨年は緊急事態宣言が発令される前から、いち早く休館を決定されましたよね。あれは相当に大きな決断だったはずですが、どういったプロセスで意志決定をされたのでしょう?

小巻:あのときの決断は、かなり苦しかったですね。ウイルスの存在が確認された2019年の年末の時点では、こんな事態になるとは考えてもみませんでした。年が明けてダイヤモンドプリンセス号についての報道がされるようになっても、まだ他人事だった。キティちゃんも「中国頑張れ」みたいなメッセージを言ってましたし。

けれど少しずつ雲行きが怪しくなってきて。とういうのも、ピューロランドは全天候型屋内施設で、特に1月から2月にかけては、過去最高の売上が見込めるくらい、お客様が大勢訪れてくださって、まさに三密の条件が揃ってしまったんです。

このままの状況が続くなら、クローズすべきなのかもしれない。そう思うようになったのが、2月の上旬です。けれど経営者としては、やっぱり売上も確保したくて。正直にいうと、大勢の来客が見込める2月22日、23日、24日の三連休が明けてから休館にしようというのが、私の当初のアイデアでした。でもやっぱり混雑具合を見ていると「それで本当にいいの?」という葛藤があって。

本田:全天候型屋内施設でお客さんがひしめきあっていることが、ピューロランドの魅力のひとつでもあったわけですよね。それが一転して弱みになってしまった、と。

小巻:さすがにひとりでは判断できなくて、サンリオの創業者である辻信太郎会長に相談にいったんです。そうしたらすごく深く考えられた上で、「今は売上よりも信用が大事だね」とおっしゃられた。そのひと言に背中を押され、予定を前倒しして2月22日からの休館へと踏み切りました。

その決定を下したのが19日の23時頃。そこから翌日のリリース発表、払い戻しの対応に向けて、スタッフが素早く動いてくれて、あの連携プレーは素晴らしかったですね。それから営業再開までの数カ月は相当に苦労もしましたが、今振り返るとみんなが成長するきっかけになったと思います。

それに困難の陰で、たくさんの物語にも出会えました。ピューロランドとの長年の思い出をアルバムにして送ってくれた方もいれば、ピューロランドの外観をスケッチしたものをプレゼントしてくれた方もいます。これまでピューロランドを訪れてくれた何万人ものお客様の胸のなかには、きっと何万通りものナラティブが眠っているのだと、心から実感しました。

「ピューロランド、休んでたって…」が、人々の心に刺さったワケ

本田:コロナをきっかけに生まれたドラマとして私が真っ先に思い浮かべるのは、休館中のピューロランドの館内の様子を紹介した、あの動画です。あれは本当にナラティブとして素晴らしかった。

臨時休館中、サンリオピューロランド公式YouTubeにてメッセージ動画を発信

小巻:ありがとうございます。「ピューロランド、休んでたって…」と題したあの動画で伝えたかったのは、たとえ休館していたとしても、私たちの日常、キャラクターたちの日常は止まっていないよ、ということでした。時間が止まったわけではなく、待っている時間が流れている。それこそ、会えない時間が愛を育てるわけです(笑)。

本田:私はナラティブというのは常に現在進行形であると言っているのですが、まさにその考え方ですよね。止まっていないんだ、という。ただ、そのメッセージが出発点にあったとして、表現の方法はいくつかあると思うんです。ああいう動画にしようというのは、すぐに決まったんですか?

小巻:実はあの動画を制作してくれたのは、30周年のイベントのために1年半以上前からずっとお付き合いをしていたクリエイティブチームで。それこそ「ピューロランドって何だ?」というようなやり取りをしつこいくらいにやってきた間柄なんです。だからこそ、私たちの思いを正確に汲み取って、適切な表現に落とし込んでもらえたのだと思います。まさに共創です。もしもコロナ禍が起きてから、取って付けたように外部のクリエイティブチームに制作を依頼していたら、ああいう動画にはならなかったでしょうね。

本田:今の話でストンと腹落ちしました。おっしゃるとおり、「取って付けた感」は絶対にバレるものです。作り手とクライアントが、文脈や価値を共有していないと、どんなに綺麗なコンテンツができても、どこか嘘っぽくなってしまう。コロナ禍という状況であのような動画をつくれた背景には、クリエイティブチームとの長期間に渡る信頼関係があったわけですね。公開のタイミングも絶妙でした。かなりスピーディーだったと記憶しています。

小巻:本当に早かった。休館から一週間くらいで企画が立ち上がりました。実は、あれはほとんどスマホのカメラで撮ったものなんですよ。セッティングも組んでいないから、日常感もくっきりと捉えられていて。それを丸二日くらいで編集して、まるで一本の映画のような動画を仕上げてくれた。プロに言うのは少し失礼かもしれないですが「クリエイターってやっぱりすごい!」と改めて感じましたし、きっとそこにも一人ひとりの物語があったと思います。

本田:もしも一カ月後に公開されていたら、同じ動画でもあそこまで共感を呼ぶことはなかったと思います。ともすると、「ハイハイ、よく頑張ったね」みたいな反応になってしまう。けれどそれが休館からまもない公開だったことにより「この短期間でどれだけの苦労があったんだろう」「よっぽど結束したチームなんだろう」というように、まさに動画の行間を読んで、ポジティブな評価をもらえた。つまり、ナラティブにおいてはタイミングそれ自体も「文脈」として意味を担っているんです。それを表す好例だと思いますね。

30年後もきっと日本には、ピューロランドがある

小巻:本当にあのタイミングで動画を公開できてよかったと思います。何より嬉しかったのは「休んでたってここにいるよ」というメッセージを受けて、「今は行けないけれど、開いたら必ず行くよ」というお客様の声が溢れたことです。その反応を見て、私たちもすごく元気をもらいました。私たちは、こんなに愛されていたんだ、と。

そう実感できたことで、未来にも目を向けられるようになりました。私は「パーパスを探す旅」と言ってるのですが、ピューロランドがこれからどんな場所を目指すべきなのかを、改めて考えるようになったんです。

色々な捉え方があると思うのですが、私の結論はやっぱり「お客様あってのピューロランド」だということ。それに、私たちが楽しみを届けられる「お客様」の概念が、コロナ禍で拡大したと思うんです。つまり、実際に来場されないお客様にも、ネットなどを通じて価値を届けられることがわかった。来る楽しみがありながら、来なくても楽しめる。その両面をこれからは追求していきたい。ピューロランドから世界をKawaiiで塗り替えたい。そんな風に考えています。

本田:コロナ禍が、思わぬ気付きをもたらしたのですね。

小巻:そうなんです。じゃあ、具体的に何をしていくかというと、まずはこれまで以上にお客様に喜んでもらえるコンテンツを提供していきたい。キャラクターを中心に、誰も見たことがないような新しい体験をリアル、バーチャルを問わずお届けしていきたいですね。

その一方で、ピューロランドという場の持つポテンシャルももっと引き出していきたい。女性のQOL向上を目指す新プロジェクト「Let‘s talk! in TOKYO」のイベントを、館内で開催したのもその一環です。これからはテーマパークも、ウェルビーイングをはじめとした深いところで人の幸せに寄り添うようなテーマに、コミットしていくべきだと思うんです。

本田:テーマパークは、コロナ禍の影響を大きく受けた業態のひとつだと思うのですが、小巻さんたちはそれを乗り越えて、より生産的な取り組みをスタートしつつあるのですね。

小巻:コロナ禍を経て、「これからどんどんチャレンジしていこう」という気持ちが社内に根付いたことは、本当に大きな財産だと思います。

同時に組織としても、これからもっと強くなりたい。そのために何より大切なのはしなやかさです。性別を問わず多様な働き方が認められる環境を整えることで、すべての人が心地よく働き続けられる職場を目指したいですね。

本田:本日お話を伺って、ピューロランドは本当にナラティブに溢れた場所だということがわかりました。きっとこの物語は、どこまでも続いていくのでしょうね。

小巻:そうだといいですね。ちなみにピューロランドって、建物としてはすごく頑丈にできていて。このあたりは地盤もしっかりしているから、よっぽどの地震でもない限り、30年後も間違いなく残っていると思うんです。さすがにそのときには私は現役を退いていると思いますが、ピューロランドがどうなっているのかは、すごく楽しみです。日本にピューロランドがあって良かった。そう言われるテーマパークであり続けたいですね。
© 2021 SANRIO CO., LTD. TOKYO, JAPAN  著作 株式会社サンリオ

「Narrative Genes ~ナラティブの遺伝子たち~」

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